アスイロ恋模様

140文字に収まらない感想や妄想の置き場です

感想「異能バトルは日常系のなかで」~それが私たちの日常~

 

現実はなんとなく超絶(スーパー)な私たちの日常…

 

2014年に放送されたテレビアニメ「異能バトルは日常系のなかで」(以下,異能バトル)。

上記フレーズはその異能バトルのオープニングテーマの歌いだしだ。初見時、私は歌詞を確認するまでスーパーが超絶のルビだと気付かなかったので、歌詞ツイートする際のコピペで初めてそれを知った。またこの超絶(スーパー)以外にも多数の厨二病的ルビ振りが曲中に登場する。

これは「厨二病」といった作品要素を歌詞の随所に詰め込みながらも、アニソンとして非常に強くまとまった曲になっており、私は本作品を配信サイトで観ていく中で毎回オープニングを楽しみに待ち望むようになっていた。何よりこのオープニングのおかげで「曲と映像めちゃめちゃ良いしアニメ見てみるか」と視聴のきっかけともなった。

アニソンはアニメを表すって諺ホントだったらしい

OVERLAPPERS(TVsize)

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  • Qverktett:II
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

作詞 畑亜貴/作曲・編曲 藤田淳平/歌 Qverktett:||(山崎はるか早見沙織種田梨沙山下七海

しかしオープニングがどれだけ良くてもアニメ本編が面白いとは限らない。主題歌や世界観、キャラデザや制作環境にいくら恵まれていようとも、現実にシンプルにつまらないアニメは存在する。また私はここ最近”そういった類”のアニメを連続で引き当てているために、主題歌に惹かれて作品を視聴するスタイルに一種の恐怖心も感じていた。映像や曲が良くて自分の中で「ベストアニメーションに違いない!」と期待し視聴した作品が、凡作とも形容できないクオリティだと判明したときの喪失感……思い出すだけでも胃が痛くなる。

だからこそ初めて異能バトルを視聴する際もこのリスクを常に念頭に置きながら再生プレイヤーにカーソルを合わせた。

つまらなかったら1話で切ればいい…オープニングが流れ終えたらウインドを消そう…キャラクターが動くだけで凄いじゃん…絵が動くって魔法だよ…

そうして膝下どころかくるぶし未満に設定したハードルもとい予防線を張って、深呼吸で息を整えた後に24分間の世界に足を踏み入れた。

www.nicovideo.jp

 ※ニコニコ動画で1話無料公開されてるみたいです

 

 

 

 

 

 

はじまった

2020年が、令和二年が、

ここに幕を開けた

そう確信するほどのCool Japan Animation

そしてここに「異能バトルは日常系のなかで」の魅力を妄想とポエムとほんの少しの考察を交えながら書き残したいと思う。

放映日2014年から約6年の歳月を経た2020年に私のアニメ琴線に触れたこの作品を忘れないために。

 

 

能力バトルもの?

まず作品概要感について簡単に触れていく。本作は一言で表すと「日常系アニメ」である。作品タイトルに日常系のなかで、と入ってるように純度100%の日常系アニメーションだ。特別なんかじゃない少女5人と厨ニ病真っ盛りの男子1人が織りなす極めて平凡なハイスクールライフ、涙あり笑いあり、時にラブコメありの物語。

しかし他の日常系アニメと1つ違う点を挙げると彼らは「異能」を持ってる。それは想像したあらゆるものを創造できる能力だったり、時間停止や風火水土光の5大属性を自由に操れる能力、リーゼントのスタンド使いもビックリな認識したものをあるべきに姿に戻す能力に他者の異能を奪う能力、そして右手に黒い焔が宿って輝くだけの能力。

彼ら(一人除く)は様々なキャラクターから作中で幾度も指摘されてるようにハッキリ言ってチートじみた能力を保有してる。その気になれば私欲に満ちた悪用や世界征服すらも容易だろう異能。1話で原因不明(視聴者目線からも)にもそんな能力を授かった文芸部メンバー。

あぁ、きっとこれ以降その能力を使って人を助けたり悪と戦ったりするのだろう、そうした諦観にも似た私の予想は2話であっさりと裏切られた。というか全12話(8話は例外)通してほとんど能力を対外的に使ってなかった……そんなことある?何なら能力バトルものの観点から言えば1話が一番それっぽいまである。

・誰もが羨むような異能を手に入れた→じゃあカッコイイ二つ名をつけよう(2話)

・何でも創造できる能力を手に入れた→じゃあくじ引きでコスプレゲームして遊ぼう(4話)

突然目覚めた異能に固執することなく、これまで通りの取り留めもない会話や放課後を過ごす主人公たち。

いつになったら能力で敵と戦うのか?能力全開のオンパレードだったあの格好いいシーンは?安藤の前に立ち塞がったあの黒い影たちは?アレ全部オープニング詐欺?

人によっては期待を裏切られたと感じるかもしれない。しかしこの作品は冒頭から徹頭徹尾高らかに宣言してる。

異能バトルは日常系のなかで

この作品はごく普通の日常系アニメにラブコメ要素を加えた作品であり、ただそれだけなのだ。

 

「異能」と「日常」

次に本作のテーマについて整理したい。本作は主人公たちに突如目覚めた「異能」、学生のありふれた「日常」の二つをメインテーマとして物語が展開されていく。

異能×日常。こう並べると前者の方に目が行きがちになるが声高に伝えたいのは「"異能力者の日常"を描いた作品」ではなく「"厨二病の主人公と周囲の日常"を描く中で異能を通じて人間関係を映し出した作品」である点だ。

本作における「異能」とは  

学園を舞台とした日常系アニメでは舞台装置として生徒会や文化部といった要素が物語を進めるうえでキーとなってくる。本作の主人公たちは文芸部に所属していて、物語のキーとなるのがこれまで挙げてきた「異能」である。

じゃあ具体的に異能は物語の中でどのような役割を果たすのか。それは文芸部メンバー、特にこれまで誰も深くまで踏み込めなかった厨二病の安藤と彼を取り巻く女子たちの人間関係を1歩も2歩も前進させて新たなスタートラインを引いたことにある。そして安藤という人間に彼女たちが惹かれる理由を我々視聴者に提示する役目も担っていた。

しかし異能の発現は決してプラスの面だけではない。単的に言えば普通の人間じゃなくなったと表現できるし、火や雷を自在に操ったり何でも創造できたりするのはもはや化け物とも言い換えられるだろう。きっと彼女たちが1人きりで異能に目覚めてしまったら、他者からの恐怖や自分の能力に責任を感じて病んでしまったかもしれない。現に1人孤独に異能を背負い込んでいた生徒会長の工藤は不安と恐怖を告白していた。

しかし文芸部には安藤がいた。どれだけ厨二病と蔑まれようとも誰よりも異能に憧れてきた彼はその超常的な出来事を前にしておよそ最善ともいえる対処をし、異能に目覚めた仲間たちを受け止めてルールを設けた。使い方次第では人に危害を加える異能であったとしてもそれを拒絶せずに、自分の一部として個性としてただ受け入れる。無責任な肯定も考えなしの否定にも手を付けず、あるべきものとして許容する。この姿勢本当に良い……

また文芸部5人の異能はそれぞれ全く異なっており、各人を象徴する個性的な能力となっている。

能力名を一覧にすると

安藤 寿来 『黒焰(ダークアンドダーク)』

神崎 灯代 『永遠(クローズドクロック)』

櫛川 鳩子 『五帝(オーバーエレメント)』

高梨 彩弓 『始原(ルートオブオリジン)』

姫木 千冬 『創世(ワールドクリエイト)』

※名付け親は厨二病の安藤

 ここに文芸部メンバーのほかに唯一異能に目覚めた生徒会長を足すとこうなる。

安藤 寿来 『黒焰(ダークアンドダーク)』

神崎 灯代 『永遠(クローズドクロック)』

櫛川 鳩子 『五帝(オーバーエレメント)』

高梨 彩弓 『始原(ルートオブオリジン)』

姫木 千冬 『創世(ワールドクリエイト)』

工藤 美玲 『強欲(グレイトフルラバー)』

この文字列を眺めて気付くことはないだろうか。

そう、能力名の漢字数とルビ数が全員一致しているのだ。漢字2文字+ルビ9文字、これは決して偶然ではない。2話の二つ名命名回で語られていたが、名付け親の安藤は異能者となった自分たちに強い結束力を持たせるためにこのフォーマットにこだわった。ここからも安藤の異能と仲間に対する強い優しさを感じられる。それにしても文字に起こすとこの横並びハチャメチャにカッコいいな……。

ちなみに全12話のタイトルもこの法則に準じてる。そういうこだわりズルい

第1話  異変<アルファエピソード>

第2話  誤想<ミスコンセプション>

第3話  邂逅<ランデブーポイント>

第4話  奇行<カプリシャスレディ>

第5話  厨二<センシティブエイジ>

第6話  罪悪<ヴァイスペナルティ>

第7話  覚醒<ジャガーノートオン>

第8話  戦争<ホルムガングバトル>

第9話  布告<ガールズアプローチ>

第10話   迷路<フールズラビリンス>

第11話   存在<キューピッドエラー>

第12話     日常<ユージュアルデイズ>

 不器用に繰り広げられる恋模様

上記の異能を通じて描かれる日常の中にラブコメ要素が絶妙に絡まって織りなすハーモニー、これが異能バトルの大きな見どころだろう。

幼馴染にツンデレ同級生、文武両道の先輩に小学生の女の子、そして才色兼備な生徒会長。5人のヒロインは各々が特別な要因で安藤に恋をする。全12話を通して自由に誰かを好きになっていいんだって示してくれたの凄い嬉しかった、アニメキャラに恋をしているので。

7話は特に必見だろう。異能バトルがリアルタイムで放送していた時期に本編は未視聴だがニコニコ動画デイリーランキング上位の「わかんない」シーンは強く記憶に残っている。当時はよく分からんけど声優ってすげえ…みたいな感想しか抱かなかったけど本編を視聴して再度あの鳩子の告白を前にしたら息が詰まって呼吸困難になった。

また9話は大きなターニングポイントである。各ヒロインが自分の中に芽生えた安藤への恋心に葛藤したり向かい合ったりしながら前進する。

安藤が好きであると告白した鳩子の決心。

初恋のドキドキを体の病気と勘違いして親友に相談する千冬の真剣な眼差し。

安藤に似合ってると褒められた眼鏡を持ち歩いている彩弓先輩。

自分に正直になれず好きという気持ちを否定する灯代。

この手の女子の関係、画面越しで観てるだけでもお腹がキリキリしてくる。でもそれと同じくらい彼女たちに幸せになってほしいと矛盾めいた願いを持ってしまう。安藤、俺も幸せにしてくれ。

こうした文芸部の彼女たちを観てると2話で安藤に告白されたと勘違いして、すぐに私もお前が好きだと伝えた生徒会長の美玲、恋愛に強すぎる。結局2話のラストで安藤に振られる?形にはなるのだが、安藤が命名した二つ名「強欲(グレイトフルラバー)」をそのままメールアドレスとして使用して未だに好きな気持ちを明示してるの最高に良い。

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好きなシーン

1話 異変<アルファエピソード>

・ 謎の冒頭シネマスコープ

・光に包まれて異能発現からのオープニング(1話からオープニング流されたせいで視聴を余儀なくされた)

・異能検診のバトルシーンで早口オタク解説する安藤を横目に「はぁ?」何言ってるのこいつと横目に見る灯代←分かってるだろお前……

・安藤の出まかせ推理に降参してたじろく美玲。ポンコツ可愛い好き

・散々バカにされる安藤の異能。無能の4段活用

・桜の木に重力無視でぶら下がってほくそ笑む謎キャラ。春の変質者

2話 誤想<ミスコンセプション>

・二つ目命名コーナーで仕方なさそうに取り組む灯代。絶対心の中でニヤけてる

・ そこそこ二つ名のツボを抑えてる彩弓さん

・宵闇に嗤う二律背反の魔女<エンドレスパラドックス>。普通に好き

・「私もお前のことが好きだ!付き合おう」堂々返答する美玲。苗字改名しようかな

・ ダーリン呼びと名前呼びを強要してくる美玲。

・鳩子と千冬で安藤をシカトする構図

・安藤の手紙がラブレターではないと分かった時の美玲のセリフ「全然気にしないで。あ!そうだ、私カレーからお母さんの材料買ってくるように頼まれたんだった」(千鳥足で去る)

・5人だった文芸部と1人で異能と向き合った美玲に対して最大限、仲間として接しようとする安藤

・階段下で会話する灯代と安藤のBGMで流れるOVERLAPPERS劇伴。どこで買えますか?

・grateful_lover

3話 邂逅<ランデブーポイント>

・ただのテニスで時間停止能力を使う子どもっぽい灯代

・安藤の黒歴史ノート「Bloody vivre」のスペル間違いのくだり。異能バトルの中でもかなり笑えたシーンなんだけど地元にイオングループのvivreなんてないし存在も知らなかったので悔しさの方が強かった。あとそこそこ頭良い設定どこいった

・安藤抜きの女子4人での会話で安藤のことを楽しそうに話してるとこ

・ファミレスで灯代の家庭事情について「聞きたい?」の問いに「言いたいのか?じゃあいいよ」って優しく返す安藤。

4話 奇行<カプリシャスレディ>

・九鬼円の名前に多動エモーションで感情を表す安藤

・コスプレイベントで太陽のコスプレした鳩子

ビキニアーマーを安藤に褒められて少し嬉しそうな灯代を遠目に見る鳩子

・親友の九鬼円に異能の話を出来ないから距離を取ってしまい気まずくなった千冬。これって安藤と鳩子の関係に通じるものがある気がする

5話 厨二<センシティブエイジ>

・カッコつけるためにギターを買った安藤。中学時代の引けもしないベースをお年玉で買ったこと思い出して切なくなった

厨二病がバレて赤面し、ライトノベル作家を目指してると告白する灯代を否定せずただ暖かく見守る安藤の姿勢。無責任に応援するって手段を取らずに相手のことをしっかり心配して構えるの良い

・時を止める異能の持ち腐れで愚痴る灯代に自身の異能を見せて「異能は最高にかっこいい。ただそれだけだ。それだけでいいんだ」と伝える安藤の台詞、最終話で再提示されるだけにこの作品の根幹とも言えるテーマ。異能も個性もそのままでいいんだよな…ありのままで、それだけで……

・デートの待ち合わせにめちゃめちゃ気合い入れる灯代。ハーフアップ美少女は反則。

・いちごオ・レを飲むシーン。売ってて良かったね…

6話 罪悪<ヴァイスペナルティ>

・異能発症後のやりとりを回想で補完してくれて助かった

・久しぶりに出てきた生徒会長 工藤美玲

・立派な人間になりなさいと言われてきた彩弓に対して「立派じゃなくていいじゃないですか。彩弓先輩はそのままで十分立派ですよ」とありのままでいいじゃんと伝える安藤の姿勢、やっぱり好き

7話 覚醒<ジャガーノートオン>

・これまで築いてきた鳩子と安藤の関係に亀裂が生じるシーン

・3分間の長台詞、圧巻過ぎて言葉が出なかった。「わからない。わからない。わからない」好きな人のことは何でも理解したいのに、理解ないって感情本当に辛いと思う。きっと色々鳩子は安藤の話してた厨二について調べたんだと思う。たくさんたくさんたくさん。「自分の言葉で語ってよ、お願いだから私に理解る言葉で話してよ。厨二って何なの、じゅうくんの言うことは昔から何一つこれっぽちもわかんないんだよ」と決壊したダムのように感情をぶつける。その後の相模の「ストレスや悩みと無縁なやつが現実にいるわけないだろ、漫画やアニメじゃないんだし」って言葉がナイフのように突きつけられた。

・鳩子と自分の関係で落ち込む安藤の頬をビンタして元気づける灯代にグッときた。だって捉え方を変えれば恋敵がいなくなった絶好のシーンなんだよ

・安藤と同じように自分を責める鳩子に「わからないままでいい」と告げる霧龍・ヘルドカイザ・ルシ・ファーストに安藤の姿を重ねた。アニメの露出はほとんどないけどきっとこの作品のもう一人の主人公なんだなって感じた。

8話 戦争<ホルムガングバトル>

・本作全12話の中でダントツに能力バトルものしてるから好き。安藤たちの異能が与えられた仕組みがスピンオフ的に明かされるのも助かった。見方によっては風呂敷広げすぎじゃない?と思わそうだけど一部分として異能バトルものを明示しただけで、あくまでも日常系アニメに終始してくれたの最高に嬉しかった。8話以降でバトルものになってたら自分的に評価は悪い方に一変してたと思う。

・彩弓先輩の覚醒能力で鳩子を奪還するシーン。文芸部室で点呼をとるのが覚醒の過程に描くの日常系であることを大事にしてるのが分かって好き

9話 布告<ガールズアプローチ>

・各乙女たちが動き出すところ(大体上で書いた)

杉田玄白の名前カッコイイってくだり

10話  迷路<フールズラビリンス>

水着回なのに不遇ヒロインの灯代

・九鬼円ちゃんが最高に可愛いお話

・水に濡れたら透ける水着ってまじで何?

11話  存在<キューピッドエラー>

厨二病から足を洗おうとした安藤を再びその道に戻したのが、ありのままで居続けた厨二病真っ盛りの灯代なの最高の文脈でアバンから涙出た。「フィクション(虚構)はここにある」→胸の中にあるものは変わらない。

・9話で灯代に宣言した通り安藤にどんどんアタックするも空回りする鳩子。夜の海を二人で眺めながら会話するシーン、五本の指に入るくらい好き。時間が経つこと将来への不安を零しながらも、自分は特別だと安藤に言われて少し複雑な鳩子の気持ち考えると胸がキュンキュンしてきた。7話のあのシーンがあったからこそ空元気かどうか判断つきやすくなってるし、海に向かって好きな人の名前を叫ぶのこれもはや告白なんだけど、海に叫ぶのは失恋でもあるから余計に切なくなっちゃうんだよね。

ラノベコンテストの二次審査で落選したことについて報告した灯代に対して安藤が「ありがとう」とだけ返すシーン。その直後に打ちあがった花火を見て、自分の気持ちにやっと気づけて涙を流すのまじで良い。「そっか私安藤のことが好きなんだ…」好きと声に出すも安藤は花火に対して言ってるものと捉えて返答、そのまま「うん……ダイスキ。」て呟くの体中が弾けそうなくらい好き。

12話  日常<ユージュアルデイズ>

・最終話のタイトルが「日常<ユージュアルデイズ>」なところ。全12話を通じて最終的に行き着く場所が「日常」なの、ただただ感謝しかない。

・操られた美玲に絶体絶命な文芸部を救うのがこれまで無能だった安藤の異能なのズルくない?自分の手も燃えて危険なのに最後まで痛がる素振りを見せずに美玲のことを仲間のことを第1に動く安藤やっぱり主人公だよ。

 ・それぞれが安藤に対する恋心を確認したうえでそれでも今は、どんな状況になるか分からないけれど安藤を好きになった自分たちをそのまま受け入れて進んでいくの、最終話としてこれ以上ない締め方でずっと泣いてた。

 

「お互い厄介な相手を好きになってしまったものだな」

「わたしはじゅうくんが好き」

「私、安藤が好き」

「だって安藤は千冬が守るから」

 

そして物語は灯代のモノローグで一旦締めくくられる。1話冒頭と同じくシネマスコープで、同じカットだけど少し違うシーンを描きながら、日常は、現実はどこまでも続いていく。

 「私たちは普通の高校生、と小学生。ちょっと特別な力を持ってるけど、誰でも他人と違うとこくらい1つはあるよね?でも普通に悩んだり怒ったり笑ったり、毎日同じような、でもちょっと違う日々を重ねていく。5年後、10年後…私たちってどうなってるんだろう?そんなこと誰にもわかんないよね。分かるのは今(いま)、見えるのは現在(いま)、目の前だけ。だから一生懸命な現実(いま)を重ねていこう。それが私たちの日常」

 現実はなんとなく超絶(スーパー)な私たちの日常…

 ありのままの自分を受け入れること。一日一日の今を重ねていく日常。何となく浪費してきた毎日が色づいたような、終わった今日をゴミ箱に投げ捨てるんじゃなくて例えどんな出来栄えの今日でも自分の一部として積み上げていくことで明日への階段ができるとしたら、それはきっと素敵なことだから。

そして私たちの日々も続いていく。平凡で退屈で、でも偶に可笑しくって、まだ見ぬ未来に向かって少しづつ前進する。その道のりを日常を楽しみたい、そんな当たり前を思い出させてくれた作品に感謝。